- 1. BPRとは?業務改善の違いやメリット・デメリットについて
- 1.1 業務改善との違い
- 1.2 BPRが注目される背景
- 1.3 BPRを行うメリット
- 1.4 BPRを行うデメリット
- 2. BPRの5つのステップ
- 2.1 BPRコンサルタントで活かせる経験となる方法
- 2.2 BPRコンサルタントとして活かせる知識
- 2.3 BPRでは「第三者の意見」が求められる
- 3. BPRコンサルタントになる方法
- 4. まとめ
BPRは「ビジネスプロセスエンジニアリング」のことで、企業において業務プロセスを抜本的に見直すことを指します。似た言葉に「業務改善」がありますが、BPRとは似て非なるものです。
BPRは社内に良くも悪くも大きな変化が発生するため、社内のみで進めることが得策とは限りません。コンサルタントのように外部の人間が動くことで、社内の衝突を最小限に抑えることが期待できます。
この記事ではBPRについて、その概要や注目される背景、さらにBPRを専門的に行うコンサルタント職について解説します。BPRに関わる仕事がしたいと思っている方は、ぜひ最後までお読みください。
BPRとは?業務改善の違いやメリット・デメリットについて
ビジネスエンジニアリングの略であるBPRは、1990年に生まれた業務改革手法の1つです。エンジニアリングとは直訳すると「工学」ですが、科学技術の応用で物を作る技術やそれを研究する学問の総称であり、より良い世の中を作るためとして広義的に使われています。
BPRとは簡単に言うと大規模な業務改革で、既存のワークフローの見直しや情報システムの再構築など、抜本的に会社を改革する時に使われる言葉です。既存の組織や制度も見直し、中長期的な事業戦略や顧客ニーズを従業員全体で共有し、ゼロから企業活動に取り組んでいきます。
BPRを実施する企業は多く、海外の企業や国内の自治体の事例もあります。生産性の向上や時間外労働の短縮といった効果も出ており、今の業務プロセスや生産性に課題を抱えている企業に大変おすすめです。

業務改善との違い
BPRと似た言葉に「業務改善」がありますが、この2つは同義ではありません。業務改善は主に課題改善や現在発生しているトラブルの解決、無駄な作業の見直しを目標としており、業務プロセスそのものは変更しません。安定した品質やスピードを求め、それを達成するために仕事環境を改善することが大きな目的です。
一方で、BPRは業務プロセスそのものを抜本的に見直します。企業活動を顧客の目線から見て、大きく変化しているニーズや時代背景に沿うように最適化することが大きな目的です。
業務改善では細かい部分の見直し・改善が多く、部署ごとに行うケースも多いものです。しかしBPRは部署を超えて企業全体で取り組むことが特徴で、会社全体を挙げての大規模な改革となります。
BPRはその取り組みの中で作業や目標を見直すことも多いので、業務改善はBPRに内包されていると考えて良いでしょう。
BPRが注目される背景
BPRという言葉は1990年代に生まれており、決して新しい取り組みではありません。しかし2020年を超えた今の社会は1990年代と似たような課題があることから、再びBPRが注目されるようになりました。
2020年代からコロナによる混沌が始まり、国内企業でも多くの打撃を受けました。消費者の生活様式が変わり、さらにリモートワークの推進や働き方改革により企業にも大きな変化が求められ、この数年で企業を取り巻く環境が目まぐるしく変わり始めています。
加えて日本では少子高齢化が急速に進んでおり、人材不足問題も無視できません。国はDX(デジタルトランスフォーメーション)としてデジタル技術を活用した生産性向上・新しい価値の創出を求めており、この点も企業の課題となっています。
1990年代といえば“バブル崩壊”の時期であり、バブル経済が崩れたことで本格的な不況時代を迎えた時期です。地価が急速に下落し不況にあえぐ企業が急増したこの時期、経営の立て直しとして期待されたのがこのBRPという手法なのです。
1990年代のバブル崩壊と2020年代のコロナショックや働き方改革、DXは企業にとって大きな変化であり、未曽有の危機にほかなりません。そのため、1990年代に注目されたBPRが再び注目されているのです。

BPRを行うメリット
BPRを行う主なメリットは、以下の3つです。
・会社における意思決定がスムーズになる
・顧客満足度アップが期待できる
・従業員の意識改革・満足度アップが期待できる
BPRでは組織改革も行うため、今まで意思決定に時間がかかっていたボトルネックが明らかになります。その部分を改善することで意思決定がスムーズになり、企業の競争力を維持することにつながるのです。
BPRでは顧客のニーズの見直しも行います。生活様式の変化やIT化など、消費者を取り巻く環境も大きく変化しており、商品・サービスのニーズも多様化しています。BPRで現在の消費者のニーズを見直し企業活動へ落とし込むことができれば、顧客満足度アップも期待できるでしょう。
またBPRで生産性向上やより最適なシステム導入を行うことで、従業員の働きやすさ・満足度アップにつながります。BPRは大規模な取り組みですから従業員に与える影響も大きく、意識改革に直結します。
BPRを行うデメリット
BPRを行うデメリットは、以下の2つです。
コストがかかる
社内で衝突や摩擦が起きやすい
BPRでは大きなコストを避けることができません。大規模に会社全体を改革するわけですから、労力や費用、工数といった多大なコストが必要です。まずは業務プロセス全体の把握からはじまり、部署の体制や各々の業務フロー、システム全体の細部に至るまで把握するので、長い期間がかかります。
社内システムの入れ替えで新しいツールを導入するとなると、ツール選定から行い、費用も発生します。時には専門知識を持った人が必要になるケースもあり、BPRでは予算の確保が必須です。
そしてBPRで課題となりやすいのが、社内での衝突や摩擦です。どうしても人は変化を嫌うものですから、BPRに拒否感を持たれる場合もあります。またBPR=リストラというイメージを持つ人も多く、「解雇されるのではないか」と不安を抱く従業員も少なくありません。
会社全体を改革するBPRは従業員にとっても大きな変化なので、事前に重要性をしっかり伝えたり、従業員の意見もくみ上げたりする配慮が必要です。
BPRの5つのステップ
BPRを行う際は、主に以下の5つのステップで進めていきます。
1.検討
2.分析
3.設計
4.実施
5.モニタリング・評価
まずはBPRを行う理由や目標を設定します。検討は経営層が中心となりますが、できれば従業員への説明会を開くなど全員に周知する配慮が必要となります。
次に目標を達成するために、現状の業務プロセスや課題を分析します。従業員へのヒアリングやデータによる分析などを行い、現状を把握します。
分析結果が出たら、それをもとに理想とする体制や方針を設計しましょう。組織を編成する場合、変更後の体制やそれぞれの職務も決めておきます。
設計まで終われば、実施を進めます。この段階で従業員への影響が大きくなりますから、目標やBPRの必要性、設計内容を共有しておくことが理想です。その後はモニタリング・評価を行い、新たな課題や変更がないかを確認して進めていきます。
BPRコンサルタントで活かせる経験となる方法
BPRは社内だけで進めるより外部に依頼したほうが良いケースもあり、BPRコンサルタントとして企業の改革に関わることができます。最後に、BPRで活かせる経験やなり方を解説します。
BPRコンサルタントとして活かせる知識
BPRコンサルタントとして必須となる資格はありません。しかしコンサルタントは専門家としてのノウハウを求められるため、基幹業務やITにおいて秀でた知識・経験が必要です。
BPRコンサルティング業務では基幹システムも見直します。そのため、人事や会計、販売といった基幹業務における専門知識を活かすことができます。
またBPRでは多くのケースでITツールのリプレイス・新規導入を行うため、ITの専門的な知識・経験も有効です。ツールの選定や導入時に、有識者として重宝されるでしょう。
社内に大きな変化を与えるBPRは、多くの関係者との議論・交渉が必要です。他のコンサルティング業務と同じく、交渉したり折衝したりといった能力も欠かせません。
BPRでは「第三者の意見」が求められる
BPR自体は、リソースやノウハウさえあれば社内で進めることも可能です。しかし組織全体を大きく変える取り組みですから、変化を嫌う従業員から反発されたり不要な摩擦が生まれたりするリスクがあります。
そこで活躍するのがBPRコンサルタントです。第三者として客観的な立場であるBPRコンサルタントが改革を先導することで、社内の摩擦が軽減され、取り組みを円滑に進める効果が期待できます。
2020年代に入り社会の変化も大きい今、BPRコンサルタントの需要は増えていくでしょう。
BPRコンサルタントになる方法
BPRコンサルタントになるには、主に以下の3つの方法が挙げられます。
・コンサルティングファームに所属する
・BPRに特化した企業への転職
・フリーランスコンサルタントとして独立する
コンサルティング業務に就きたい時、多くの方が思いつくのがコンサルティングファームではないでしょうか。大手になるほど大きいプロジェクトに関われる機会も多く、経験を積むことができます。
コンサルタントになる前にBPRの経験を積みたいなら、BPRに特化したベンダーへの転職がおすすめです。BPRツールの開発を行うベンダーの多くは、BPRコンサルティング業務も兼任しています。そのため、BPRの経験を積みながらコンサルティングを行うことも可能です。
BPR領域である程度の知識・経験があるなら、フリーランスコンサルタントとして独立を検討するのも良いでしょう。フリーランスなら自分の判断でプロジェクトを選ぶことができますし、働く場所も時間も制限がありません。努力次第で収入を上げることもでき、より自由に働くことができます。
フリーランスコンサルタントは、自分で案件を見つけることが第一関門です。
フリーランスとして独立したら案件も自分で見つけなければいけませんが、インターネット上で案件を紹介しているプラットフォームもあり、登録することでより効率的に案件を探せます。
「Strategy Consultant Bank(SCB)」はフリーコンサルタントが活躍する案件紹介プラットフォームで、これからフリーランスとして独立を検討している方にもおすすめです。

まとめ
BPRについて、その概要やコンサルタントの必要性をご紹介しました。働き方改革や生活様式の変化、DXなど企業を取り巻く環境は大きく変化しており、企業自体が変わらなければなりません。今後もBPRを検討する企業や、コンサルティングを依頼する企業も増えるでしょう。
BPRコンサルタントとして独立後の案件探しに不安があれば、ぜひ「Strategy Consultant Bank(SCB)」をご利用ください。高単価の戦略や業務案件が中心でマッチング精度も高く、アフターフォローも充実しています。
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