東大卒Jリーガーからクラブ代表へ――異色のキャリアだから見える、地域貢献とフリーコンサル活用の本質

おこしやす京都AC株式会社 代表取締役 添田 隆司様
2025.12.22
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スポーツを通じた地域貢献やアスリートのセカンドキャリア支援、そしてフリーコンサル活用の可能性とは?
東京大学からJリーガーを経て、現在はおこしやす京都ACの代表を務める 添田 隆司様にお話を伺いました。

プロフィール

おこしやす京都AC株式会社 代表取締役 添田 隆司様

東京大学卒業後、史上2人目の東大出身Jリーガーとして、藤枝MYFC(当時J3)に加入。
その後、2017年夏におこしやす京都ACに移籍し、同年に引退。
スポーツX株式会社の創業メンバー・取締役、2018年12月からおこしやす京都AC株式会社の代表取締役を務める。

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添田様について

これまでのご経歴を教えてください。

出身は東京都で、大学も東京大学に進学しました。
卒業後は大手総合商社に内定をいただき、内定式にも出席し、そのまま入社する予定でした。

しかし、大学4年生の12月に、現在J2所属の藤枝MYFC(当時J3)から練習参加のお声がけをいただきました。
練習参加させて頂いたのちに、正式にお誘いをいただきました。 
 
迷いはありましたが、最終的にはサッカー選手として自分がどこまで出来るのか挑戦してみたい思いが勝り、藤枝MYFCでサッカー選手としてキャリアをスタートさせることにしました。

東京大学出身のJリーガーは、私で2人目という非常にレアなケースだったのですが、選手兼任社員として、プレーする傍ら、クラブの事業面にも並行して携わっていました。
その後、最後の半年は現在私が代表を務めるおこしやす京都ACでプレーし、そこで引退しました。
2018年12月、当時25歳で代表に就任し、現在に至ります。

たくさんの選択肢がある中、現在の添田様のキャリアがあると思いますが、何を大切にしてキャリアの選択をされたのでしょうか?

私のキャリアにおける最大の選択は、やはり「サッカー選手になる」という決断だったと思います。
正直なところ、その時はとても迷いました。
というのも、大手総合商社へ就職すれば、安定したキャリアや収入のイメージがある程度描けていたからです。

一方で、スポーツの世界は当時の私からすると将来が見通しにくく、今のように仕事の幅が広がる未来など、大学生の自分にはまったく想像ができませんでした。

さまざまなことを考えたタイミングではありましたが、最終的には「挑戦できる選択をしたい」という思いが勝ち、プロサッカー選手の道を選びました。
想像していなかった形でスポーツビジネスの領域にも足を踏み入れる形になりましたが、その過程で、「選手としての経験を持ちながら、事業面の知見も持っている人材」はこの業界に多くないということを強く感じました。

さらにスポーツは、エンターテイメントとしてだけでなく、地域活性化や教育コンテンツとしてなど、さまざまな側面でまだまだ新しい価値を生み出せる大きな可能性に満ちた領域であるとも、中で活動をしていて強く感じました。

こうした思いが積み重なり、結果として今の私の選択につながっているのだと感じています。

サッカー選手と商社マンという選ばれし者しか迷うことのできないいい意味で悩ましいキャリア選択だったと思いますが、就職活動のタイミングでは、やはりスポーツ業界に興味はあったのでしょうか?

正直に申し上げると、学生時代は仕事としてのスポーツにはまったく興味がなかったんです。
サッカー選手としてお声をかけていただいたことで、結果的にスポーツビジネスの世界に関わることになりました。

当時の自分が興味を持っていたのは海外で働くことでした。
そのため、就職活動では総合商社をはじめとしたグローバルに仕事ができる企業を中心に志望していました。

まさか今、自分がスポーツビジネスの領域で、しかもこれほど深く地元・地域に根ざした仕事をすることになるとは、当時の自分からは本当に思いもよらなかったです。

企業について

現在所属されている企業(スポーツX)の事業内容を教えてください。

藤枝MYFCでの史上最速5年でのJリーグ参入、特定の事業会社を親会社に持たない形で黒字化した知見を基に、スポーツチーム運営の多地域展開事業を進めている企業です。

一般的に、プロスポーツクラブの運営は親会社の支援のもとに事業が成り立つケースが多いのですが、当時の藤枝MYFCでは特定の事業会社を親会社に持たないチーム運営の黒字化を実現しました。
現在は、藤枝MYFCで培った知見を生かし、私が代表を務めるおこしやす京都AC、そしてJリーグ所属の福島ユナイテッドFCを含め、複数クラブの運営に携わっています。

今後は、日本国内だけではなく、アジアやアフリカといった海外にも事業を展開し、さらなるスポーツビジネスの可能性を広げていきたいと考えています。

おこしやす京都ACについて教えてください。

おこしやす京都ACは、全国に約4,500ある社会人サッカークラブの中で、最高77位まで進出した実績を持つチームです。
現在はJ1から数えて5部相当の関西1部リーグに所属しています。

事業としては大きく二つの柱があります。

一つ目は、私たちが「パートナー事業」と呼んでいる所謂スポンサー事業です。
現在70社ものパートナー企業様とご一緒しており、株主様も含めると、約220社になります。地域に持続的に価値を生み出していけるようなクラブづくりを進めています。

二つ目は、サッカースクールの運営事業です。
3歳から12歳まで、約500名の子どもたちに通学頂いています。

私たちは「社員プレーヤー制度」を設けており、クラブ所属選手の一部を社員として雇用し、スクールでの指導や、営業活動、パートナー企業様交流会などのイベント運営などにも携わってもらっています。
事業領域で選手が活躍しているのは珍しいようで、参加されたパートナー企業様が驚かれることも多いです。
この制度を導入している背景には、選手を引退した後のキャリアでも、折角クラブと関わってくれたご縁を、地域にもプラスの形で活かして貰えるような道を作りたいという想いがあります。

引退後にそのままスポーツの世界で活躍する選手もいれば、社員プレーヤーとして活動する中でつながりが生まれ、地域のパートナー企業様へ就職するケースも増えています。

こうした形で、企業・選手・地域の三者にとってプラスの循環を生みだすことを目指しています。

おこしやす京都ACでのご自身の役割はどのようなものになりますか?

私の役割は大きく分けて「パートナー企業様への価値提供」と「組織づくり」の2つがあります。
 
まず事業面では、パートナー企業様との取り組みを中心に担っています。
 
おこしやす京都ACでは、パートナー企業になっていただいてからが本当のスタートだと考えており、クラブを通じた価値提供をいかに実現するかを常に意識しています。
 
たとえば、サッカーチームという特性上、体育系大学の学生やスポーツに関わる若い世代と自然に接点を持つことができます。
パートナー企業様にとっては、将来の採用やインターン機会として魅力的な人材と出会える場にもなりますし、「おこしやす京都AC」をハブとして企業同士が新しいつながりを持てるような機会づくりにも力を入れています。
 
サッカースクールの事業では、現役選手たちがコーチとして子どもたちの育成に関わっています。
技術指導や教育においては彼らの方がずっと優れていますので、私は「選手や社員が前向きに働けて、仕事面でも成果を出せる環境をつくる」ことが役割だと思っています。

どのような想いで事業をなさっていますか?

時代の変化もあり、昨今は人と人との直接的なつながりがどうしても希薄になりつつあると感じています。
これは子どもたちも例外ではありません。
実際、子どもの運動能力が年々低下しているというデータをご存じの方も多いと思いますが、その背景には、運動に触れる機会が家庭によって大きく二極化している現状があると考えています。

便利なサービスがあふれる時代だからこそ、これからさらに重要になるのは、人と人が直接出会い、体験し、つながる「リアルな場」だと思っています。
子どもたちが成長していくうえで、スポーツはそのきっかけとなり得るものです。
その中で、地域のスポーツチームが果たすべき役割は非常に大きいと感じるようになりました。
単に競技でトップレベルを追求するだけでなく、スポーツを通じて大人も子どもも関わり合い、地域コミュニティが育まれ、さまざまな良い循環が生まれる。
これこそが、私たちおこしやす京都ACが担うべき使命の一つだと考えています。

私たちが地域社会におけるインフラのような存在になることで、たとえサッカーをしない方でも「京都にこのチームがあってよかった」と思っていただける。
そんな価値を提供できるよう、日々取り組んでいます。

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フリーコンサルについて

フリーランスのコンサルタントへの発注を検討したきっかけを教えてください。

きっかけは、私が知人にパートナー企業様の人事評価制度の設計支援をお願いしていた事からでした。
その取り組みを間近で見て、外部の専門家が関わることで、地域の可能性が広がりうるかもしれない、と感じました。

そこで、事業の一部分を質の高いフリーコンサルに支援していただく方法も模索していたタイミングで、Strategy Consultant Bank(SCB) を紹介してもらい、「この仕組みなら、高い専門性を持つフリーコンサルの力が、地域の新しい可能性に繋がるかもしれない」と感じ、相談させていただいたのが始まりです。

今回フリーランスのコンサルタントに発注をしてみてどう感じましたか。

知人にお願いしていたときにも感じたのですが、 どうしても私が直接やり取りをする訳ではないため、フリーコンサル側も地域企業の特性への深い理解が必要になる感じますし、活用される企業側様にもフリーコンサルを使いこなす力が必要だと思いました。
 
ただ、裏を返せば、フリーコンサルの地域企業理解や、企業様側もフリーコンサルの活用に慣れていき、お互いが力を発揮しやすい体制を整えられれば、地域の企業様にとっても非常に大きな可能性が広がると感じています。
欲しいところに、欲しいタイミングで、プロフェッショナルな人材が関わってくれる。これは地方の企業にとって大きな価値になり得る可能性があります。

だからこそ、地域企業とフリーコンサルが上手にかみ合う仕組みができれば、地域のビジネスにもフリーコンサルの方々にも、双方にメリットが生まれると考えています。
自社だけでは採用が難しい人材を、必要に応じて柔軟に活用できる。
その意味でも、フリーコンサルの活用には大きな可能性があると実感しています。

今後どのようなプロジェクトをフリーコンサルへ依頼しようと考えていらっしゃいますか?

パートナー企業様との交流の中で、経営者の皆様が非常に勉強熱心で、尊敬すべき方ばかりだと日々感じています。

私自身も、多くの学びや気づきをいただいており、そうした方々に寄り添いながら支援できるプロジェクトを、今後はフリーコンサルの方々ともご一緒出来る道も模索したいと考えています。
現場で働く従業員の方々が、より力を発揮しやすくなるよう、業務の標準化やマニュアル整備、制度設計などを進めていくためには、現場の力とは別の、専門的な力が必要と考えています。

そうした領域でフリーコンサルの皆さまとご一緒することで、生産性や価値をさらに高められる可能性があるのではないかと期待しています。

どのような方にプロジェクトに参画いただきたいですか?

私たちが日頃から接点を持つパートナー企業様の多くは地域の中小企業で、大企業と比べるとどうしてもリソースが限られています。

しかし、その分だけ、経営層と現場の距離が近く、本気で取り組めば組織が大きく変わる可能性に満ちていることが醍醐味だと感じます。
そうした環境で成果を出すためには、経営サイド・現場サイドの双方としっかりコミュニケーションを取りながら、組織づくりや業務改善を汗をかいてに推進していく姿勢が欠かせません。

必ずしも同様の案件に参画した経験がなくても構いませんが、地域の中小企業を支える意義に共感しながら、前向きに動ける方には、特に力を発揮していただけると考えています。
地域に根ざす企業をより良くし、そこで働く人たちや地域コミュニティに還元していく、そんな思いに共感して頂ける方と、ご一緒したいと考えています。

Strategy Consultant Bankについて

SCBに今後期待することがあれば教えてください。

私としては、もっと多くの企業様に「フリーコンサルを活用する」という選択肢があることを知っていただきたいと思っています。

また、フリーランスのコンサルタントの方々にとっては、地域の中小企業やスポーツ業界の支援に関わる経験をポートフォリオとして持つことが、キャリアの幅を広げる大きな価値になり得ると感じています。

フリーコンサルとして地域企業に関わる働き方は、キャリアの選択肢として大きな可能性を秘めていると考えています。
企業側もリソースが限られる中で、気軽にプロフェッショナルの力を借りられるという点で、フリーコンサルの活用は可能性が広がっています。

そして、そうした関わりが増えれば、地域も企業も、そしてコンサルタント自身も成長していくといった好循環がもっと広がっていくことを心から期待しています。
フリーコンサルの方々、そしてそれを活用する企業の双方に、この選択肢の魅力をまず知っていただけると嬉しいです。

最後に

事業の今後の展望についてはどのようにお考えですか?

私たちは「スポーツを社会インフラに」というビジョンを掲げて事業を進めています。
これまで地域において、スポーツが人や企業をつなぐ交流の場になり、次世代の育成の拠点にもなるーそんな価値を届けるために活動してきました。
スポーツを軸にした地域貢献の可能性はまだまだ広がると感じていますし、スポーツチームとして地域社会に貢献できるモデルを標準化し、さまざまな地域で、地域に応じた形で再現できる形にすることが今の目標です。

また、私自身がサッカー選手としてキャリアを歩んできた背景もあり、アスリートのセカンドキャリアの選択肢を広げるという視点も大切にしています。
スポーツに関わる人材が地域や企業と自然につながり、新しい挑戦に踏み出せる環境を作ることも、進めていきたいと考えています。

こうした取り組みを通じて、スポーツが地域社会の根幹を支えるインフラの1つとして機能する未来を実現していければと思っています。

ありがとうございました。

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